サーフィンの日焼け止めは、紫外線ダメージを防ぐために必須アイテム。ですが商品によっては、サンゴ礁や海洋生物系、さらに人体に有害な可能性があるのをご存知でしょうか。
ハワイ州である日焼け止めが禁止に
サーフィンの発祥地・ハワイ、ハワイ州の「サンスクリーン法」が成立され、2021年1月から施行されました。この法律は、紫外線カット成分のオキシベンゾンとオクチノキサートが含まれる日焼け止めの販売や流通を禁止するというもの。
(CNN) 米ハワイ州のデービッド・イゲ知事は3日、サンゴ礁への有害性が指摘される成分を含んだ日焼け止めを禁止する法案に署名して成立させた。2021年1月1日から施行する。こうした法律が米国で制定されるのは初めて。
法案は5月にハワイ州議会を通過していた。施行後は、紫外線カット成分のオキシベンゾンとオクチノキサートが含まれる市販の日焼け止めの販売や流通が禁止される。
法案の起草にかかわった非営利の学術団体は、オキシベンゾンやオクチノキサートについて、海水浴客の肌から流れ落ちたり排水処理施設を通じて海水に流れ込んだりして、サンゴの白化現象や遺伝子の損傷を引き起こす原因となり、やがてサンゴを死滅させるという調査結果を発表していた。
同団体の専門家クレイグ・ダウンズ氏は法案の署名に立ち会い、「幼生のサンゴにとって、オキシベンゾンは特に毒性が強い」と述べ、「日焼け止め公害の海水浴客がいれば、新しい世代が育たず、その地域のサンゴ礁は徐々に縮小する」と強調した。
ただ、同法には反対意見もある。「日焼け止めに使われている安全で効果的な2つの成分が禁止された。根拠となっているのは、そうした成分がサンゴ礁にとって有害だと主張する1つの研究結果にすぎない」。米日用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)などのメーカーでつくる全米業界団体幹部のジェイ・シロイス氏はそう反発する。
同法の影響で日焼け止めの選択肢が少なくなれば、日焼け止めの使用が減り、皮膚がんのリスク増大を招きかねないと危惧する声もある。
真偽は定かではないですが、海洋生態系に悪影響を及ぼす可能性があるなら、筆者は対象の日焼け止めを使うべきではないと考えます。
日本でもにわかに話題になっているSDGsでも、14番目の項目が「海の豊かさを守ろう」となっており、その視点から見ても、海に有害になりうる日焼け止めを使用するのは、好ましいとは言えません。
※SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標。貧困、社会、環境など包括的な地球の問題に対し、目標と具体的なターゲットを定めています。
紫外線吸収剤、防腐剤にも注意!
オキシベンゾンとオクチノキサートとは、いわゆる紫外線吸収剤とよばれる成分のひとつ。肌に塗ると、紫外線吸収剤が紫外線を吸収して、紫外線が皮膚の内部に侵入するのを防ぐ働きがあります。
またハワイが禁止の対象とする成分が2種類なのに対し、パラオでは10種類を禁止の対象に。
本年1月1日から、「責任ある観光教育法2018(The Responsible Tourism Education Act 2018)」に基づき、サンゴ礁に有害な成分を含む日焼け止め製品の輸入、販売及び持ち込みが禁止されました。法律では、禁止された成分を含む日焼け止めを輸入または販売した業者には1000ドル以下の罰金が科され、有害物質を含む日焼け止めを持ち込んだ場合は入国時に没収されると定められています。禁止されるのは以下の化学物質を含む日焼け止めです。
<紫外線吸収剤>
・オキシベンゾン/ Okybenzone(BP3)
・オクチノキサート/Octyl methoxycinnamate(EHMC)
・オクトクリレン/ Octocrylene(OC)
・エンザカメン/ 4-methyl-benzylidene camphor
<防腐剤>
・トリクロサン/ Triclosan
・メチルパラベン/ Methyl paraben
・エチルパラベン/ Ethyl paraben
・ブチルパラベン/ Butyl paraben
・ベンジルパラベン/ Benzyl palaben
・フェノキシエタノール/ Phenoxyethanol
出典:在パラオ日本国大使館 2020.1.6
※<紫外線吸収剤>、<防腐剤>は筆者が加筆したものです。
セーフな日焼け止めの選び方
ハワイとパラオに習うと、以下が条件となるようです。
・紫外線吸収剤のオキシベンゾンとオクチノキサートが入っていない≒紫外線散乱剤を使っている
・防腐剤が入っていない
※紫外線吸収剤のほか、紫外線散乱剤を使用した日焼け止めがあります。散乱剤は物理的な仕組みで紫外線を散乱、反射させるので、比較的に肌に優しいとされています。
日本で正規で購入できるアイテムは限られてきそうですが、私達がサーフィンを楽しめるのも、美しい海があってこそ!サーフィンの日焼け止めは、海洋生態系に配慮したものを使おう、という気持ちになりますね。
ただし、海や人に優しい分、サーフィンの日焼け止めだけで強い紫外線ダメージから防ぐことはできません。加えてできるのは、ハットやキャップを被ること。地味ですが、被らないより被ったほうが、断然焼けにくくなります。
未来も楽しくサーフィンや海遊びができる世界であってほしい。そのためにも、ぜひサーフィンの日焼け止めを選ぶ基準を見直してみましょう!
↓日焼け止めが必要な理由は?こちらの記事をあわせて読んでみてくださいね。
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