サーフィンとヨガは親和性があります。サーフレジェンドのジェリー・ロペスを筆頭に、1970年前後からヨガを行うサーファーがいました。ヨガとサーフィンの関係、その効果を、ジェリー・ロペスの記事をもとに紐解いていきます。
ジェリー・ロペス|サーフィンとヨガ
ジェリー・ロペス 出身地:ハワイ州ホノルル、居住地:オレゴン州ベンド 言わずと知れたサーフレジェンド。2.5mのパーフェクトなパイプラインで穏やかかつエレガントなライディングが象徴的。現在はオレゴン州ベンドに拠点を置き、サーフィンと執筆活動とシェイピング、さらに自宅近辺でパウダースノーを満喫している。 出典:gerrylopezsurfboards
本段落の記事は「How Yoga Can Improve Your Surfing, with Gerry Lopez」をもとに構成しています。
ジェリー・ロペスがヨガを始めたきっかけ
「ハワイ大学に通っていた1968年。大勢の女子が大学内の掲示板をチェックしていたんだ。興味本位でその掲示板をのぞいたら、夜に近くでヨガクラスがあると掲示されていた。
女の子にもう一度会えるかな、なんて思って行ったら(笑)、まったく予想外だった。ヨガから思いがけないほど大きな影響を受けたよ。それからヨガが人生の大きな部分を占めるようになった。
振り返ってみると、ヨガは人生で必要な時に現れるように思う。多くの人が知っているけど、いざヨガをしても、タイミングが合わないこともあるだろう。
けれど最初のヨガクラスのタイミングが、私にはぴったりだったんだ。ヨガクラスの先生は、若くてヒッピーのようだった。動きがスムースで、サーフィンに取り入れたいと思った。それがヨガが夢中になったきっかけだ。君もそのタイミングが来れば、きっと分かるだろう」
ヨガがどうやってサーフィンのパフォーマンスを向上させるか
「そもそもサーフィンは常にできない。波があるときだけサーフィンができる。その一方で、ヨガの練習はいつでもどこでもできる。
サーフィンには、体幹と柔軟性が必要だ。ヨガをやると、その2つの効果がすぐにでる。体幹と柔軟性は互いに補っているんだ。
肉体的な面だけでなく、精神的な面でも効果もある。ヨガは呼吸がとても重要だ。自分の呼吸を理解し、コントロールできるようになる。サーフィンでワイプアウトして、水中で呼吸ができないと苦しいだろう。ヨガは長く息を止められるかだけでなく、ワイプアウトした時のように苦しい状況でも、心を落ち着ける方法を教えてくれるんだ。
私はサーフィンを始めて60年以上、ヨガは50年になる。ヨガとサーフィンは、私にとって人生の陰陽のバランスをとる役割だ。私はいつも、それらは並行し、互いに補い合うものだと思っていた。しかし、次第に1つの同じ道であることに気づいたんだ。1つの同じ方向に進んでいて、方法が違うだけなんだ」
どんな練習やポーズがサーフィンに役立つか
「誰もが柔軟性を持っている。しかし、ヨガを続けられないのはフラストレーションが溜まるからだ。人は『そんなポーズはできない』と思う。でも中には、できるポーズがある。自分にできるポーズでやる気が出て、別の難しいポーズに挑戦していくことが大事なんだ。
完璧なポーズを目指すことより、そのプロセスに挑戦することの方が重要だ。そうすれば、気持ちが追い込まれることもない。挑戦するプロセスは、進化だと思うんだ。これによって、ヨガの修練は花開くことだろう」
「私は長い間ヨガをやっているが、できないポーズがいくつかある。それを受け入れるんだ。できないポーズがあれば、できるポーズもあり、人々は『どうやったらできるの?』と言う。私は、『長い間取り組んできたからだ。サーフィンと同じなんだ。サーフィンにどのくらいの労力を費やしたか考えてみてほしい。たくさん悩み、ワイプアウトをして、良いことばかりではなかっただろう。何事も山あり谷ありなんだ。けれど、ヨガはサーフィンよりも少し難しいかもしれないけどね(笑)」
サーフィンの怪我にヨガは役立つか
「定期的なヨガ、特にプラーナヤーマの呼吸は、免疫を強化してくれる。また、どんな怪我でも、治りが少し早まるだろう。プラーナのコントロールがカギとなるんだ」
ヨガはサーファーが歳をとることに対し、元気を与えてくれるか
「一般論として、歳をとると、体の水分保持力が低下し、可動域が狭くなる。アスリートやスポーツ選手であろうと、スポーツによる怪我は、足首・膝・腰・肩といった関節まわりだ。ヨガは関節に、細部にわたってよい影響をもたらすんだ。ヨガは、私たちを元気にしてくれるだけでなく、体と心を鍛えてくれるんだ。
ヨガを始める前よも、屈伸で足の指先まで触れるようになったんだ(笑)。これもサーフィンと同じ。パドルを怠ければ、パドル力が失われれる。ヨガもサボると柔軟性が失われるんだ。君はサーフィンでどれだけの労力を費やしただろうか。何回パドルして、何回ビーチに行ったか。波がひどいのに何回パドルアウトしたか。その先で、気分が良くなっただろう。ヨガも同じ。ヨガクラスの後はいつも気分が良くなるんだ」
サーフィンへの影響を実感するには、どれくらいの頻度でヨガをすべきか
「毎日(笑)」
ワイプアウト中に落ち着けるかは別として、サーフィンは精神的な鍛錬になるというが、ヨガはどう役立つのか
「平均的なサーファーであっても、良い精神状態を得られれば、サーフィンを成功させることができるんだ。言い換えれば、深い瞑想状態に入らなければならない。海で集中していない、波に乗っているときに他のことに気を取られているとワイプアウトしてしまうんだ。
この海での集中は、瞑想しようと集中することと同じなんだ。サーフィンの素晴らしさは、瞬時に精神集中に入り込めること。波に向かっている時、精神は深くに入り、非常に鋭くなる。その瞬間、意識は自分だけの世界にいるんだ。
これこそが、サーフィンの素晴らしい贈り物なんだ。より高い精神統一の状態へフリーライドしているんだ。実はサーファーのほとんどはそれを当然だと思っている。ヨギーたちはその精神状態に到達するために、私たちよりももっと過酷な鍛錬をしなければならないんだ」
サーフィンとヨガの相乗効果
ジェリー・ロペスのインタビュー記事はいかがでしたでしょうか。
冬のノースショアなどでのサーフィンは、命を落とす危険性もあります。ゆえに、サーファーには鍛え上げた肉体と強靭な精神力の両方が求められます。ジェリー・ロペスの語りは、心を打つものがあったのではないでしょうか。
ヨガは、フィジカルと精神の両面に良い影響があるとありました。フィジカル面では比較的に早く、いろいろな良い影響を感じられると思います。精神面は、ゆっくりですが、ヨガをしたことがなかった時とは違ういい影響が出てくるはずです。
いきなりヨガクラスに通わずとも、今はYouTubeで気軽に体験もできる時代。興味が湧いたら、まずは試してみるのをおすすめします。
筆者もヨガクラスなどに少し通ったことがある程度、今はもっぱら調子が悪い時にYouTubeで一緒にヨガをするくらいです。本記事を書こうと思ったのも、きっと何かのサイン。今一度、ヨガに挑戦し直してみようと思いました。
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